こんにちは!住新センター・岩堀です。
このほど開催された「法制審議会・民法部会」において、賃貸借終了時について、賃借人の原状回復義務の規定を整備する方向(賃借物が損傷した場合の原状回復の範囲に通常損耗の部分が含まれないことを条文で明記するか等)で審議していく方針などが示されました。
従来の法解釈では、「賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要なる修繕をなす義務を負う」という表現で、通常損耗かどうかは言及されてきませんでした。
現場実務者においては、平成14年に国交省から交付された「原状回復にかかるガイドライン」や、東京都独自の「東京ルール」等を根拠としてきました。但し、これらはあくまでもガイドラインであり、法的強制力がない分原状回復に関する解釈が度々問題となってもきていました。
ガイドラインの解釈では、「賃借人の居住・使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失・善管注意義務違反、その他通常の使用を超えた使用による損耗・毀損を復旧する」となっています。
例えば、ドアや壁などを乱暴に扱ったことで壊したとか、掃除・通風をしないために畳や壁にカビを生えさせた、とかです。賃借人とはいえ人のものを「善管注意義務条件付」で使用するわけですから、過失責任が問われる様な損壊の修復は常識的な話であるわけで。個人的にはその点も法制化いた方が紛争発生の際、解決が計りやすくなるのでは、と思っています。
ともあれ、改正されるにしてもその改正時期等が決まっているわけではないので、法律改正という大きい問題だと思えば、気長な経過観察事案ということでしょうか。。。
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